網膜疾患
網膜疾患について
網膜とは、眼の奥にあり、カメラのフィルムに相当します。
視力低下、中心部のゆがみ、中心部が暗く見える、飛蚊症(黒いものが飛んでみえる)、視野の周辺に光が走って見える、などの症状が出ます。
糖尿病・高血圧の方、健診で眼底出血、黄斑部の精密検査を指摘された方もお早めにご相談ください。
詳しい検査

- 散瞳薬を点眼して、診察室で眼底を詳しく調べます。散瞳薬の影響で、検査後も4時間ぐらいは、見え方がぼんやりします。
- OCT(光干渉断層計)を用いて、眼底の中心部の詳細を調べます。
OCT・眼底の写真撮影時はまぶしいですが、時間は短くお体への負担は少ない検査です。
主な疾患
網膜剥離
網膜にできた裂孔や円孔から眼球内の水(硝子体液)が網膜の裏側にまわり、網膜が剥がれた状態です。糖尿病や眼内の炎症、アトピー性皮膚炎に合併して網膜剥離が起こることもあります。
【症状】
・飛蚊症(黒いものが飛んで見える)
・視野の周辺にピカッと光りが走った
・急に視力が低下した、見えないところがある
【治療】
<網膜がはがれている場合>:入院して手術が必要です。
<網膜裂孔や円孔でとどまっている場合>:当院外来でレーザー光凝固治療を行います。裂孔や円孔の周りの網膜にレーザーを照射して、網膜がはがれないようにいたします。
【自覚症状のある方へ】
網膜剥離は、早期発見・適切な治療がとても大切です。自覚症状がある方はどうぞお早めに受診ください。
糖尿病網膜症
糖尿病の眼の合併症です。予備軍の方を含めると、日本人の8人に1人が糖尿病の可能性があると言われています。高血糖が続くと細かい血管が徐々に障害を受けて、網膜が虚血に陥り網膜症が発症します。血糖のコントロールが不十分な方では、5~10年で網膜症が発症します。
【症状】
・網膜症が発症しても、初期の段階では、視力低下などの自覚症状はほとんどありません。
・網膜中心部の黄斑にむくみが生じた場合は、急激に視力低下などの自覚症状が出てきます。
【治療】
網膜症に対しては、レーザー光凝固治療が主となります。
<糖尿病黄斑浮腫>:網膜中心部の黄斑のむくみに対しては、ステロイドや新生血管をおさえる薬(抗VEGF薬)を眼内に注射する治療が有効とされています。経過や病状に応じて、レーザー治療、硝子体手術が選択されます。
<進行した増殖性網膜症>:入院して硝子体手術が必要です。
【糖尿病の方へ】
網膜症は、自覚症状のないまま発症し、進行して、失明に至ることもある怖い合併症の一つです。しかしながら、初期の段階で発見できれば、血糖コントロールで病状の悪化を防ぐことができます。
自覚症状の少ない網膜症から大切な眼を守るために、糖尿病の方は、内科での血糖コントロールとともに、眼科で定期的に眼底検査を受けていただくことが、とても重要です。
加齢黄斑変性
網膜の中心部である黄斑部に起きる病気です。加齢や喫煙、生活習慣などが原因と考えられており、黄斑部の網膜下に病的血管(新生血管)が発生する「滲出型」と黄斑部網膜の細胞が萎縮する「萎縮型」に分類されます。
「滲出型」は、日本人に多く、進行も速いので注意が必要です。
【症状】
・中心部の視力低下・ゆがみ
・中心部が暗く見える
【治療】
「滲出型加齢黄斑変性」黄斑部の網膜下に発生した新生血管をおさえる薬(抗VEGF薬)を眼内に注射する治療や、光線力学的療法などを行います。
【予防】
・喫煙の中止、欧米型の食生活を和食中心に変更など生活習慣の改善
・紫外線対策
・サプリメント内服
【50才以上の方へ】
普段から、片目ずつの見え方をチェックして、少しでも気になることがあれば、お早めにご相談ください。特に「滲出型加齢黄斑変性」は進行も速く、深刻な視力障害に至る場合もありますので、早期発見、早期治療がとても大切です。
黄斑前膜
網膜の中心部に薄いセロハンのような膜ができます。中心部のゆがみが生じ、ゆがみが強い場合は、手術で薄い膜を取り除きます。